中学・高校・一般対象 <劇> 120分
オタワ条約(対人地雷全面禁止条約)発効記念作品

グランド・マイン

GROUND MINE
~突然 愛の地雷原~
作:伊藤康隆  構成・台本:だんいっせい  演出:鈴木龍男(前進座)
後援:JCBL(地雷廃絶日本キャンペーン)
協力:希みの会・HOPE(国際義肢装具支援NGO)

ストーリー

 お笑いタレントを目指す凸凹コンビ、ケン(田辺健太)と、ゴロー(寺尾吾朗)は永い下積み生活に決着をつけるべくラストチャンスに賭けた。
 人気TVゲーム番組「ラブアタック1」である。優勝すれば賞金と美しいマドンナ、そしてビッグな地位が約束される。しかし最後の難関はなんと「地雷」 だった。限られた時間に相手より多くの地雷を撤去するという破天荒なゲームだったのだ。 
 低迷する視聴率の影で暗躍するプロデューサーの大谷。奇しくもマドンナ役に選ばれた、ケンのかつての恋人ユカ。それぞれの思惑を胸に一行はアジアの火薬庫と呼ばれるボンゴジアへと旅立った。そこで彼らの見たものは?待ち受ける衝撃の運命とは…!

制作意図

 戦後半世紀、日本は平和憲法のもと未曾有の繁栄と平和を謳歌してきました。しかし、東西冷戦終了後、頻発する民族紛争やテロ事件、バブル崩壊後の長びく不況等、政治的にも経済的にも極めて不安定である事が国の内外で露呈されました。
 そんな中で急浮上してきたのが「地雷」の問題でした。多くの日本人が対岸の火事と看過してきた地雷廃棄の運動が流動する国際社会の中で見過ごし出来ない 平和の問題として登場してきたのです。
 地雷被害は世界の片隅で起きている不幸な出来事の断片でなく、20世紀の戦争の負の遺産であり、当該国のみならず私達人類社会全体に投げかけられた重い 課題ではないでしょうか。本作品は21世紀に生きる、とりわけ若い世代にとっ て無視出来ない問題として企画されました。

地雷原の果てに

 人間はどうも自然界にあるものより自分たちの造り出したものに苦しめられることが多い。地球のいたる所にいつの間にか対人地雷などという始末の悪いものがばらまかれ、どこに埋められているかさえ正確に把握されていない。取り除くには結局手作業で一つ一つ危険を犯して探し出し、解体または破壊するしかないという。この芝居の根底にはこういう問題が横たわっている。
 二人のお笑い芸人の目を通してこのテーマをあぶり出そうというのがこの脚本のねらいである。ますますエスカレートする視聴率競争のなかで翻弄され、傷つく若者たちの懸命に生きぬこうとする姿が、笑いとペーソスの中に描かれる。虚飾にあふれた芸能界の中に一抹の夢を抱いてがむしゃらに走ろうとする芸人コンビの行く先には、人の命を弄ぶサバイバルゲームが待っている。このお笑い芸人ケンとゴロー、そしてマドンナのユカが地雷原のあるアジアの国で、地雷撤去のボランティアとして働く青年たち、戦争のため母親と別れ別れになった少女などと出会い、葛藤する姿を通して、自分自身の本当の生き方を見つけることがどんなに大切かを感じ取っていただきたいと思う。そしてなにより命がいかにかけがえのないものであるかももう一度考えていただきたい。

演出/鈴木龍男(前進座)

スタッフ

作:伊藤康隆
構成・台本:だん いっせい
演出:鈴木龍男(前進座)
美術:小南由紀
照明:伊藤舞台照明
音楽:盛田裕之
音響:堀内宏史
舞台監督:佐瀬佳明
制作:水内壽子
後援:JCBL(地雷廃絶日本キャンペーン)
協力:希みの会・HOPE(国際義肢装具支援NGO)