中学・高校・一般対象 <朗読劇> 90分(休憩なし)
(財)エイズ予防財団推薦作品

今は涙するしかできないけれど…

ドラマティック・リーディング
作:小原 真  構成・演出:篠原明夫

ストーリー

 飯田マキ(新進作家)はある夏、エイズに関するエッセーの以来を受け、体験取材として気軽に検査を受けます。ところが思いもかけない陽性の診断が下されたのです。その日からHIV感染者として彼女は差別と偏見の中で生きる事を余儀なくされます。しかし彼女は医師や恋人の支えもあり力強く生き抜くことを誓うのでした。祝福されざる結婚、妊娠、出産。そんな彼女にエイズは容赦なく襲いかかります。そして発病…。感染から夭折するまでのわずか二年間、エイズと真正面に向き合いながら人生を精一杯生きた一人の女性を通し、エイズとは一体どんな病気なのか?またエイズは決して差別される病気ではない事をドラマティックに、けれども淡々と描いた感動作です。

制作にあたって

 1998年(平成10年)より全国巡回公演作品として取り上げた「今は涙するしか出来ないけれど…」(’98池袋演劇祭優秀賞受賞作)は独自の演劇的手法で注目を浴びる気鋭の劇作家、篠原明夫の手になる朗読劇です。初演以来都内の中学・高校の演劇教室のみならず、エイズキャンペーンの一環として関東近県の保健衛生課主催等、従来の演劇公演の枠を越えて上演され続けている話題の作品です。

今なぜ朗読劇なのか!?

 これまでいくつものエイズ関連の映画,TV、演劇を観てきました。いずれも興味深く感動的でしたが、あるエイズ患者の闘病手記の衝撃を越えるものではありませんでした。今までのエイズに対するイメージのいかに薄っぺらなものだったかという思いで一杯になりました。現在一般の人々の知識が乏しい段階でエイズをビジュアル化するのは、かえってこの病気のイメージをミスリードする危険性があるのではと悩み、以来試行錯誤の中でたどりついたのが、『朗読劇』だった訳です。エイズを静かに考えてもらう為には、出来るだけシンプルで嘘のない表現が望ましい。観客の想像力をいかに掻き立てていくか。今までの朗読劇の形式を破るパワフルな舞台に!それが願いです。

(構成・演出:篠原明夫)

スタッフ

作:小原 真
演出:篠原明夫
音楽:南澤大介
制作:水内壽子
協力:小島賢一(福村出版 エイズカウンセリング)